「婦人科に行こうと決めたのに、何を話せばいいのかわからない」
「診察室に入ったとたん、頭が真っ白になってしまった」
更年期の不調で婦人科を受診するとき、こんな不安を持つ方はとても多いです。
この記事では、助産師として多くの女性の受診に寄りそってきた経験から、
- 更年期の婦人科で、初診のときに何をするのか
- 先生に症状をうまく伝えるコツ
- 恥ずかしくて言いにくい症状の伝え方
をお話しします。
読み終わるころには、「これなら話せそう」と思っていただけるはずです。
更年期の婦人科、「うまく話せない」のはあなただけじゃない
診察の時間は、思っているより短いものです。
緊張して、聞かれたことに「はい」「大丈夫です」と答えているうちに終わってしまった——そんな声を、私は何度も聞いてきました。
更年期の不調は、ほてり、眠れない、イライラ、疲れやすい……と、あちこちに出ます。
ひとつひとつは「こんなこと言っていいのかな」と思うような小さなことで、だからこそ、言葉にするのが難しいのです。
うまく話せないのは、あなたのせいではありません。
準備をしておけば、ちゃんと伝わります。
更年期の婦人科の診察内容|初診で何する?
病院によってちがいはありますが、更年期の相談で初めて婦人科に行くと、だいたい次のような流れになります。
① 問診票を書く
症状、生理の状況、持病、飲んでいる薬などを書きます。
② 問診(先生との話)
問診票をもとに、先生がくわしく聞いていきます。この記事でいちばん大事なのは、ここです。
③ 検査
- 血液検査(女性ホルモンの量などを調べます)
- 必要に応じて、内診や超音波(エコー)検査
- 血圧、体重など
※内診をするかどうかは、症状の出方で決まります。
次のような、具体的な症状があるときは内診をします。
- 陰部にかゆみがある
- 不正出血がある(生理ではない時期の出血)
- おりものが増えた、においがする
- 下腹部が痛い
- 子宮の奥のほうが、なんだかおかしい
こうした症状がある方は、必ずシャワーを浴びてから病院へ行ってください。
不安なときは、受付や先生に「内診はありますか?」と聞いて大丈夫です。
④ 治療の相談
結果や症状に合わせて、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、生活の工夫などを一緒に考えます。
血液検査の結果は、後日の受診で聞くことが多いです。
治療が始まってからも、採血はだいたい4か月に1度、長くても半年に1度のペースで、体の変化を見ていきます。
先生は「消去法」で考えます
更年期の不調は、ほかの病気の症状とよく似ています。
たとえば、甲状腺の病気、貧血、うつ病なども、疲れやすさ・動悸・気分の落ち込みなどが出ます。
そのため先生は、まず検査の結果という「事実」を見て、ほかの病気ではないかを一つずつ消していきます。
そのうえで「更年期によるものかどうか」を判断していくのです。
だからこそ、検査の結果がとても大切になります。
初診は費用がかかります。検査結果は必ず持っていきましょう
初診は、診察に加えて検査が重なるため、費用がかかります。
さらに、採血はふだん4か月〜半年に1度のペースで見ていくため、半年以上検査をしていないと、あらためて検査をすることがあります。
最近の健康診断や人間ドック、ほかの病院で受けた血液検査の結果があれば、必ず持っていってください。
先生が見るのは「結果」です。結果があれば、同じ検査をくり返さずにすみ、費用も時間も節約できます。
費用は検査の内容によって変わるので、心配な方は、予約のときに「初診でどのくらいかかりますか?」と聞いておくと安心です。
初診の持ち物チェックリスト
- ☑ 保険証(マイナ保険証)
- ☑ 検査の結果(健康診断・人間ドック・ほかの病院の血液検査など。いちばん大事です)
- ☑ お薬手帳(または、飲んでいる薬とサプリのメモ)
- ☑ 生理の記録(最後の生理日・周期・何日で終わるか・量・色やにおいの変化。数か月分あると◎。アプリの画面でもOK)
- ☑ 症状のメモ、または受診サポートシート(次の章で紹介します)
- ☑ 脱ぎ着しやすい服装(内診があるときのために、スカートだと楽です)
- ☑ 陰部やおりもの、出血などの症状がある方は、家でシャワーを浴びてから
先生にそのまま渡せる、自分だけの「受診サポートシート」(無料)
「診察室で何を話せばいいか、わからない」
「言おうと思っていたのに、先生の顔を見たら忘れてしまった」
そんな方のために、先生にそのまま渡せる1枚のシートを作れるようにしました。
使い方は、かんたんです。
- 「更年期タイプ診断」の質問に、今の体の状態を答えていきます(全113問・10〜15分ほど)
- 答え終わると、あなたの症状の傾向が、7つのタイプの中からわかります
- 「受診サポートシートを作る」を押すと、診察で役に立つ1枚ができあがります
- 印刷するか、スマホの画面のまま、受付や先生に渡してください
シートには、次のようなことがまとまっています。
- いちばんつらい症状と、その強さ
- 生理の状況(最後の生理日・周期)
- 眠り、気分、仕事や生活への影響
- 口では言いにくい症状(デリケートゾーンの乾燥や痛み など)
- 手元にある検査結果(女性ホルモンの値など)を書きこむ欄
口で説明しなくても、紙が代わりに伝えてくれます。
答えた内容は、あなたのスマホやパソコンの中だけで使われます。どこかに送られることはありません。
先生が知りたい5つのこと|婦人科での症状の伝え方
シートを使わない方も、次の5つをメモしておくと、診察がぐっとスムーズになります。
① いちばんつらい症状は何か
たくさんあっても、まず「いちばん困っていること」を1つ決めておきましょう。
例:「夜中に汗で目が覚めて、眠れないのがいちばんつらいです」
② いつから、どのくらいの頻度か
例:「半年くらい前から、ほぼ毎日」「週に2〜3回」
③ 生理の状況
更年期かどうかを考えるうえで、先生がとても大切にする情報です。わかる範囲でメモしておきましょう。
- 最後の生理が始まった日
- 周期(何日ごとに来るか。「28日型」など)
- 何日で終わるか
- 経血の量(多い・少ない)と、量が少なくなってきた時期
- 色やにおいなど、いつもとちがうところ
できれば、数か月分を日記のように書いておくと、先生は変化の流れがよくわかります。生理の記録アプリの画面を見せるのもおすすめです。
④ 生活への影響
例:「仕事中にほてりが来て集中できない」「家族にイライラしてしまい、自分を責めてしまう」
「つらさ」を数字で言うのもおすすめです。「10点満点で7点くらい」など。
⑤ 持病と、飲んでいる薬・サプリ
治療法を選ぶときに欠かせません。
伝えるコツは、「気のせいかもしれませんが」と前置きしないこと。
あなたが感じているつらさは、気のせいではありません。そのまま伝えてください。
恥ずかしくて言えない症状こそ、紙で伝える
更年期には、口に出しにくい症状も出てきます。
- デリケートゾーンの乾燥、かゆみ、ヒリヒリする
- 性交痛がある、性欲が変わった
- 尿もれ、トイレが近い
- 気分の落ち込みがひどい、涙が止まらない
「こんなことを言ったら、どう思われるだろう」
そう感じて、言わずに帰ってくる方がたくさんいます。
でも、婦人科の先生にとって、これは毎日のように聞く、ごく当たり前の相談です。
そして、言いにくい症状の中にこそ、治療でぐっと楽になるものがあります。
どうしても口で言えないときは、メモや受診サポートシートを渡して「ここに書いてあることも相談したいです」とだけ言えば大丈夫です。
メモを渡すのは、失礼なことではありません。先生にとっても、正確にわかるのでありがたいことです。
▶ デリケートゾーンの乾燥やかゆみについては、こちらの記事でくわしくお話ししています。
更年期でデリケートゾーンが乾燥・かゆい…その症状「GSM」かもしれません
婦人科に行くタイミング|こんなときは、がまんせずに受診を
「このくらいで病院に行ってもいいのかな」と迷う方へ。
次のようなときは、がまんせずに受診してください。
- 不調のせいで、仕事や家事、睡眠に支障が出ている
- つらい症状が、2〜3か月以上続いている
- 市販薬やセルフケアを試しても、よくならない
そして、次のようなときは、早めに受診してください。
- 生理ではない時期の出血がある(閉経後の出血も含みます)
- 急に強い痛みがある
- 気分の落ち込みが強く、「消えてしまいたい」と感じることがある
更年期の不調だと思っていたら、別の病気がかくれていることもあります。
「更年期だから仕方ない」と決めつけないことが大切です。
▶ どの病院を選べばいいか迷っている方は、こちらの記事もどうぞ。
更年期で「どこかいいところない?」と聞かれ続けて気づいたこと
なーさんの体験談|「あー、大事なこと言えなかった…」をなくしたい
診察室に入って、特に初診のときに、症状が始まったころから順番に話していくと、言いたいことが、だんだんずれていってしまいます。
これは、先生の聞き方にも理由があります。
先生は、一つひとつのことを深く掘り下げて聞いていきます。そのたびに話が少しずつそれて、途中で、最初に言っていたことと話が合わなくなってくることもあります。
そうなると、先生は話を切り返して、「つまり?」と聞いてくることが多いのです。
頭の中で整理してきたつもりでも、事実だけを確認したい先生との間に、距離ができてしまう。
そして「この先生には、なかなか言えないなあ」と感じてしまうことがあります。
たくさんの患者さんを診ているからこそ、先生は断定的に言うのだと思います。
実は、私もそうです。
どちらかというと、はっきり言えないタイプです。
診察が終わってから「あー、大事なこと言えなかった……」とならないように。
受診サポートシートを、使ってみませんか。
よくある質問
Q. 症状をメモして渡すのは、失礼になりませんか?
A. 失礼ではありません。むしろ、限られた診察時間で正確に伝わるので、先生にとっても助かります。「メモしてきました」と渡すだけで大丈夫です。
Q. 健康診断の結果は、持っていったほうがいいですか?
A. はい、必ず持っていきましょう。先生は検査の結果を見て、ほかの病気がないかを確かめながら判断します。半年以上検査をしていないと、あらためて検査をすることがあるので、最近の結果があると、費用も時間も節約できます。
Q. 更年期の相談で、内診は必ずありますか?
A. 必ずではありません。内診は、症状の出方で決まります。陰部のかゆみ、不正出血、においのあるおりもの、下腹部の痛み、子宮の奥の違和感など、具体的な症状があるときは内診をします。その場合は、必ずシャワーを浴びてから受診してください。
Q. 生理がまだあっても、更年期の相談をしていいですか?
A. はい、大丈夫です。更年期の不調は、生理が不規則になり始めるころから出ることが多いです。
Q. 何科に行けばいいか迷います。
A. まずは婦人科、または更年期外来がおすすめです。気分の落ち込みが強いときは、心療内科などと一緒に相談することもあります。
まとめ
- 更年期の婦人科でうまく話せないのは、あなただけではありません
- 先生は検査結果という「事実」から、消去法で判断します。最近の検査結果は必ず持っていきましょう
- 先生が知りたいのは「いちばんつらい症状」「いつから」「生理の状況」「生活への影響」「薬」の5つ
- 言いにくい症状こそ、紙で伝えれば大丈夫
- 受診サポートシートを使えば、先生にそのまま渡せる1枚が無料で作れます
診察室で、あなたのつらさがちゃんと伝わりますように。
どうか、ホルモンの扉を、私に開いてみませんか。



コメント